1.無害化と高付加価値化を実現するリサイクル技術

廃棄物リサイクルの鍵はリサイクル材の市場競争性にあると捉え、無害化と高付加価値化の同時実現が可能な技術を開発しています。廃棄物を燃やした後の灰の場合、その化学的、鉱物学的な特性を明らかにすることで、重金属の不溶化メカニズムを明らかにしようと試みています。



高付加価値化では、歯学の知見を援用して廃棄物を環境浄化材に生まれ変わらせる技術を開発しています。表面に歯に似た物質を形成させることで有用微生物を固着させ、無害化と固着微生物の働きによる環境浄化機能を実現することを狙っています。また、石炭火力発電から膨大に排出される石炭灰を水分保持材に生まれ変わらせて、石炭灰のリサイクルと同時に砂漠化を防ぐ技術の開発もしています。廃棄物のリサイクルで別の環境問題(水汚染や砂漠化など)も解決しようとする点が高付加価値化の戦略点です。




2.廃棄物処理・リサイクルの環境負荷評価と環境リスク評価

廃棄物の処理処分やリサイクルは環境負荷を与え、リスクを伴います。不変不滅の重金属に着目して環境負荷や環境リスクを評価する研究を行っています。廃棄物に含まれる有害性重金属や放射性元素を対象に、環境排出インベントリーを作成して環境負荷を評価します。また、環境動態モデルを構築して、環境リスクとその信頼性を評価していきます。




3.廃棄物リサイクルを阻害する社会心理的要因

選別回収された資源性廃棄物には多くの異物が混ざっており、リサイクルコストを上げています。適切な分別を阻害する心理的ボトルネックは何なのでしょうか?
分別廃棄するときの心理要因、特に「煩わしさ」に着目し、煩わしさを定量化するための手法を開発しています。また、より煩わしさを感じにくい(=自然と適切な分別廃棄ができてしまう)ゴミ箱のデザインや分別収集システムについて研究しています。研究成果をもとに、社会心理的側面からバリアフリーとなる資源性廃棄物リサイクルのシステムデザインを目指しています。




4.再生可能エネルギーや廃棄物リサイクルの周知・住民合意における新旧メディアの影響評価

風力発電からバイオマス発電や廃棄物発電など再生可能エネルギーが市民に認知され、最終的に住民合意に至るまでには様々なメディア(新聞からソーシャルネットワークサービスまで)の影響を受けていると考えられます。その影響はどれほどのものなのでしょうか?
メディアが再生可能エネルギーについて現在までにどのような報じ方をしたのか調べ、その影響を分析していきます。再生可能エネルギーや廃棄物リサイクルが市民に適切に認知され、合意を得ていく過程においてメディアが与え得る影響を評価していきます。